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執筆者の写真月吉野 若林醸造

3月になると思い出す事

更新日:2022年5月24日

3月になりました🌸


長野は一気に春の陽気に近づき、蔵の中の温度が一気に5度近く上昇してしまい、てんやわんやです。

気候の変化を受けやすい我が蔵は、醪が全員活発になり、今週は2日に1回上槽をしています。このペースで搾った事がないので、今までのゆったりペースを考えるとまるで酒蔵のような忙しさです。


3月になると毎年思い出す事があります。

備忘録として、Facebookに投稿した記事を転載します。

私が杜氏になりたいと思った経緯も書いてあるので、ご興味のある方は是非ご一読ください。


 

2016年3月31日


修行先のお蔵さんへの最後の出勤日でした。


信州銘醸さんで酒造りを学んで3年。

実家が酒蔵なのにも関わらず日本酒の造り方を知らず、辛口の酒こそが美味しい酒、酒と一緒に水なんて飲んだら邪道だと古い考えを信じ、本当に未熟で不勉強な私は、お酒の好きな一般の方よりもお酒を知らなかったと思います。


初めて蔵に入った日はまず米の計量から始め、造りを教わる前にタンクの洗浄や床の掃除をたくさんやりました。

道具を洗ったりビニールを交換したり、蔵の仕事って1日の半分は掃除なんだなあというのが第一印象でした。


信州銘醸さんには、80歳に近い、名杜氏さんがいらっしゃいました。

その方は酒造りの半年間をずっと蔵で過ごし、住み込みで仕事をしていらっしゃいました。

私の入った時にはすでに現杜氏さんに仕事を任せるようになっていましたが、それでも仕事ぶりは現役そのもので、よく動き、よく働き、蔵人の動きを常に把握している、まさに造りの責任者たる仕事ぶりでした。

昔の職人さんならではの、仕事は見て覚えろというタイプの方でしたので、杜氏さん自ら丁寧に教えてくださることはなく、私は仕事を見て盗んだり考えたりすることが多くなりました。


なるべく杜氏さんのやっていることを見に行くようにすれば少しはわかるかなあと思い、なるべく休まずにたまに夜も泊まらせていただいたりしていました。

徐々に分析や造りの方の手伝いをさせてもらえるようになり、大吟醸の蓋麹の仕事のときには、杜氏さん自ら私を呼びに来て入って見てていいよと言ってくれました。その後、何度か声をかけてくださることがあり、仕事を一緒にやらせていただく機会をいただきました。


見学に来た県の先生が、ここの麹の経過は教科書とは全く違うやり方なのに、素晴らしい麹だと言っているのを聞き、これが伝統の技というやつなんだなと思いました。私もできるようになりたいと思いました。


3月末になり、造りも終盤に差し掛かった頃、杜氏さんは麹室で倒れてしまいました。発見から病院まで付き添うことが出来、可能な限り長く一緒にいることができました。


その次の年から、麹や酒母を主に見ている方のサポートをさせてもらい、今日までの2年間勉強をさせていただきました。

蔵の皆さんは皆明るく、わからないことがあれば何でも教えてくれました。私が初めて造ったお酒も1番に利いてもらいました。


いろんなことを教えていただき、女性で力もそこまで強くない私を蔵に受け入れてくれて、本当に感謝しています。

ここでの3年間が私の酒造りの基礎となりますが、これから先もお手本として目指すお酒には変わらないので、まだまだ勉強させてもらいます。


長くなりましたが、修行の蔵期間が終わりましたので、明日からは自分の蔵に戻ります🌸


 

もう6年も前になりますが、そんなに昔の事のようには感じません。


ですが、6年前は年間数本だった醪が、今は20本近い数にまでなったことは感慨深いです。

これからも、初心を忘れずに努力を続けていきたいです。


本日、来週とつきよしの 白(美山錦純米大吟醸)の瓶詰めです!

商品詳細はこちら


ご予約頂きました皆様、大変お待たせしました。発送は準備でき次第順次手配致します。


それでは皆様、良い週末を!



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