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執筆者の写真月吉野 若林醸造

毎年酒造り出来ることの有り難さ。

梅雨が明けてしまいました。

史上最速?らしく、例年の半分の日数とのこと。そして日中は36度と、異常気象を感じます。これが普通になってしまうのでしょうか。

今年の酒米の出来も心配です。


蔵のある塩田平付近は、朝は22度前後と涼しいので、最近は早起きをして田圃の中を散歩しています。

日が差さず涼しいので、気持ちが良いです。

夕方日が沈んでからも、同じように田圃の中を散歩します。

今年はため池の都合で減反しており、麦が多めな塩田平の田圃です。






昨日、またひとつ酒蔵の倒産ニュースを目にしました。

茨城県の酒蔵で、私はそこの蔵元の娘さんに一度お会いしたことがあったので、ニュースを見た時びっくりしました。

その方は異業種を経験された後その会社を辞めて、蔵元である実家に戻ってご活躍されておりました。私と境遇が似ていて、年も近かったので、よく覚えていました。



私が蔵に入る前に参加した、醸造研修の時に一緒だった蔵元の方や、もっと言うと長野県内の酒蔵でも、倒産したりM&Aで社名や経営が変わったりしています。お隣の新潟県は酒蔵の数が全国一ですが、約半分がM&Aされていると、蔵見学に行った時にお話を伺いました。酒蔵の経営悪化は珍しいことではなく、後継者も不足しています。誰かに事業承継されればまだしも、お気に入りの銘柄が気づいたらなくなっていた、なんて事も普通に起きています。



新型コロナウイルス感染拡大が大きな原因だとは思いますが、原因というより『とどめ』に近い気がします。

古い体質を柔軟に変えれない会社ほど、その傾向が強い気がします。そこが酒蔵の良さでもあり、悪さでもあります。

歴史あるものがいきなり途絶えてしまう事の切なさや寂しさは、ニュースを見るたび感じています。



一方、新しい酒蔵を立ち上げたり、免許を得て新規参入するパターンも増えているようです。資本のある会社か、もしくは超小規模のマイクロブルワリーかどちらかのパターンが多いです。


当社の所属する長野県酒造組合上田支部でも、新しく企業へ事業譲渡した山三酒造という酒蔵があります。




当社も、私の両親が酒蔵を閉じる予定でいました。

理由は『後継者不在』。

私も姉も都内で就職していたからです。

当時、酒蔵を買いたいという引き合いも何件か来ていたようです。

(両親の代で酒蔵らしからぬ新しい取組みを色々行っていた影響で、評価も高かったみたいです。)




そんな状況でしたが、親に頼まれてもいないのに娘2人が勝手に仕事を辞めて帰ってきて、私はお婿さんを頂戴し丁重に洗脳し、石数と従業員を増やしつつ今も会社が続いています。




結局何が言いたかったかというと、今の状況が当たり前ではないということと、毎年酒造りができることの有り難さを感じているということです。

ここまで大変な状況を乗り越えられているのは、今こうやってブログを読んでくださっている方々や、普段当社の商品に関わってくださっている皆様のお陰です。

本当にありがとうございます。




もう一つ、嬉しい事がありました。


つきよしのの、香港への輸出が始まります。

日本酒の輸出については、蔵に入る前から私が最もやりたかった事で、現在進行形です。今は主に2カ国へ通年販売しておりますが、これで3カ国目です。

毎年少しずつ、確実に増えていて嬉しい限りです。




酒蔵経営は思っていたより大変ですが(まだ事業承継していない自分が言うことでもないですが)、ものづくりは楽しいです。造ったものがいろんな場所、人へ広がっていく過程も、楽しいです。

新しい人と知り合ったり、ご縁で素敵な飲食店を知ることも、とても楽しいです。



毎日に感謝して、常に歩みを止めず、新しい事に挑戦する会社でいられるよう頑張ります!


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