今季の酒を全て無事に作り終えることができました。
これを酒蔵用語で「皆造(かいぞう)」と言います。
10月から始まった酒造りでしたが、今年は諸事情で長引いて5月まで造っていました。製造量は例年通りの数量でしたが、今まで小仕込みだった純米大吟醸酒を増産できたり、輸出用の清酒を大幅に増産できたり、逆にコロナの影響で消費量がガクンと減ってしまった本醸造や普通酒を減産したり、今後の生産体系を見直すきっかけになる年でした。
また、生酒の製造については限定生産を増やし、全体の量としては例年より少し量を減らし、夏前に全て売り切ってしまう計画で製造しました。理由は、酒質的に生で熟成させるよりも、旬の時期にフレッシュな状態で飲んでもらいたいと考えたためです。ありがたい事にご好評を頂き、今日現在で生酒の蔵在庫がなくなってしまったため、来期は増産する予定です。
当社の生産規模はというと、約150石とかなり小さいです。目と手をかけて1本1本造ることができるため、楽しく丁寧に酒造りできる状況です。
毎年品質が向上していることをお酒を通して伝えられるよう、引き続き頑張ります。
現在は、蔵の掃除や造ったお酒の出荷作業を行う毎日です。あと、甘酒の製造も定期的にしております。
今日は甑(こしき)を分解して洗っています。約300kgの酒米を蒸すことができる機械です。
甑をこうして倒して洗うことから、仕込みが終わり米を蒸す作業がなくなることを「甑倒し」といいます。
次に甑を倒すのは、仕込みの準備である9月頃でしょうか。
今日はもう1つ、備忘録として記しておきたいことがあります。
ニュース等でご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、先日茨城県の酒蔵で火災が発生し、蔵が全焼という大変なことが起きてしまいました。
結城市の結城酒造さんという、江戸時代創業の蔵です。2017年に上田市の5蔵で蔵見学にお邪魔したことがあり、登録有形文化財である立派な建物や風情のある蔵を見学させて頂きました。
お酒は人気銘柄ですのでもちろん美味しく、杜氏の美智子さんも明るくエネルギーのある方でした。
酒蔵にとって、火災は非常に恐ろしいものです。
歴史ある建物を維持している会社が多いため、木造建築に一度火の手が上がると延焼までのスピードがとても速いのだそうです。
現在、結城酒造さんへの支援の輪は既に広がっているようです。
幸い人的被害はなかったとのことで、安心しました。
最後に、今日から発売している商品のご案内です。
「つきよしの 萌黄」という、植物性乳酸菌で乳酸発酵させて仕込んだ山廃純米酒です。
製法による独特の酸味が特徴で、他の商品より酸度が高めです。
冷酒と燗酒で味わいがかなり変わりますので、温度帯を変えても楽しめます。
蔵のある塩田平では藤やツツジが見頃を迎え、田圃に水が入り、カエルや鳥の声があちこちで聞こえてきました。
皆様も是非、季節に合った食べ物やお酒を選んで、毎日をお過ごしくださいませ。
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