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執筆者の写真月吉野 若林醸造

辛口純米酒誕生秘話

3年前、「つきよしの 辛口純米酒」という商品を作りました。

造ろうと思ったきっかけについて、備忘録として記録したいと思います。


昔は「淡麗辛口」という言葉が多く飛び交い、飲食店に行っても「辛口くださぁい!」という人が多く見受けられたそうですが、最近の流行りは甘口系が多い。

味わいもかなり多様化してきてはいますが、それでもやはり人気銘柄は甘口が多いです。

私も色々お酒を飲んでいますが、やっぱり甘いお酒の方が印象には残ります。

辛口のお酒でも、甘みが少し残ってたりするとおいしい!と思ったりします。

甘みは旨味、なのです。


そんな中、なぜ日本酒度+10を超えるお酒を作ろうと思ったかというと、さかや栗原さんという東京の酒屋さんと、以前ブログにも書いた革命君という酒屋さんのアドバイスからでした。

さかや栗原さんの麻布店の店長さん(Sさん)とはお付き合いが長く、私が修行中に作ったお酒の頃からお取引頂いております。

グルメでお酒も好きなお方で、美味しい飲食店をたくさん知っています。

携帯のカメラロールを覗くと、食べログ並に料理の写真が保存されています。

酒屋さんなんですが、酒屋っぽくない雰囲気が私はとても好きで、何でも気さくにフラットにお話してくれるとても素敵な方です。

意見も素直に伝えてくださるので、とてもありがたいのです。



そんなSさんに、「辛口って需要ありますか?」と聞いたのがきっかけでした。

酒関係のイベントに出ると必ずといって良いほど「この中で辛口はどれ?」と聞かれ、お店に来るお客さんにも一定数の方に聞かれ、「辛口好きな人って、まだまだたくさんいるのでは?」と感じたからでした。

Sさんいわく、「辛口というだけで普通のお酒よりモテる」とのことでした。相談した結果、中途半端な辛さではなく+10をオーバーすることと、純米系でいくことに決めました。

ラベルについては革命君の斎藤さんに相談し、赤系が見た目にもわかりやすいよね~とのことで、シンプルな赤黒ラベルに落ち着きました。


そんなわけで初年度は少量仕込みで造ってみたところ好評を頂き、太田和彦さんの酒場放浪記でも紹介して頂いたり、飲食店の反応がとても良かったことから、レギュラー商品に加えたというわけです。

さらに付加価値をつけるべく2年目からは地元塩田平の有機栽培米を使用して造っています。



3年目の今年は、ラベルを一新しさらに生酒にも挑戦してみました。

商品名は「つきよしの 赤」。

季節的にも生酒っていいのでは?との思いで造ってみました。


出来上がったものを飲んでみたところ・・・

飲む前に感じる香りはメロン?りんご?穏やかな果実系。

すっっっっっっきり。甘み少ない。

口の中をすっと駆け抜けて、喉を通った後に少し苦み?が残る。

というより、甘みがないので苦みが感じやすい?

アルコール感は、高くならないよう調整したため強くは感じません。

キンキンに冷やすと、本当にすっきりしている。

むしろ常温寄りの方が味があるような。

おそらく、火入れ向きの味わいなのかもしれません。

搾った直後だったので余計すっきり感が多かったのかもしれません。

少し置いておいた方が(熟成させた方が)、味わいがでる酒質なのかもしれない。

1杯目ではなく、中盤から飲みたい酒。料理の邪魔をしない。何杯も飲めそう。

辛口好きな人へは、間違いなくお勧めできるかと。



以上が初挑戦の感想でした。

こちらのお酒は12月から発売開始になります。


火入れバージョンは1月に搾る予定です。また出来上がったらお知らせします!


お取引頂いている酒屋さんや、買いに来て下さるお客様の声を、非常に参考にしています。自分で造ったものを評価して頂き、感想を直に聞けることはありがたくもあり、辛いこともあります。でも、より良いもの、より新しいものを作るためには大切な工程ですので、皆さんの声を参考にしてすぐに酒造りに反映できる今の状況は、私には合っているなあと感じています。



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