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山廃仕込みは難しい

今月から発売しております、「つきよしの 萌黄 無濾過生原酒」は、当社で唯一山廃仕込みをしている純米酒です。


山廃仕込みとは、日本酒造りのもととなる「酒母」を作る際の仕込みの製法です。

江戸時代に主流だった「生モト造り」の工程の一部である「山卸」を廃止した製法を、「山廃仕込み」といいます。

重労働だった工程を改良したことで、山廃仕込みの製法が広がっていったそうです。


何が特徴かというと、乳酸菌を発酵させて乳酸をつくるという点です。


現代の日本酒は、表記がない限り「速醸モト」という、工業生産された乳酸を添加して酸性の環境をつくりだす方法をとっています。

この方法によって、生モト、山廃の仕込みで大変苦労していた工程を大幅に短縮し、酒質を安定化することができました。


一方、生モトや山廃は乳酸菌に乳酸をつくらせて酸性の環境をつくりだすため、時間がかかるのと、速醸に比べると乳酸の成分が大きく異なります。

有機酸の種類は色々あり、クエン酸、リンゴ酸、ピルビン酸、コハク酸、乳酸など、それぞれの酸味の大小によって味わいが豊かになります。


昨年「これは本当に山廃か!?」と物議を醸した我々の山廃ですが、今年も大変苦労しました・・・。

経過を少しお見せします。


乳酸発酵中の酒母
乳酸発酵中の酒母

酒母までは、昨年の反省を活かして改善してつくることができました。

あ~良かった・・・と安心して醪に移行してから、事件は起きました。


泡なし酵母から泡が立ってきた
泡なし酵母から泡が立ってきた

私たちは泡無し酵母を使用しているのですが、なんと醪から泡がもこもこと立ち上がってきたのです。

タンクの蓋を開けたら、泡あり酵母の独特の香りが。

その瞬間に、昔お世話になった信州銘醸さんの修行時代を思い出しました。


当時の杜氏さんは、7号の泡あり酵母を使っており、泡消し機や泡笠がタンクの上に置いてありました。

香りを嗅いだ瞬間に、一気に当時のことを思い出しました。

香りってすごい。


泡が立ってきてびっくりしましたが、原因は分かっているので、温度が上がりすぎないように品温を調節しながら発酵を進めました。


タンクのへりについた泡をこそぎ取ります
タンクのへりについた泡をこそぎ取ります

泡が落ちてきたので、雑菌が繁殖しないようタンクのへりについた泡を掃除します。

急遽手作りしたのですが、私の青春時代を共に過ごした竹刀が、まさかこんな形で役に立つとは…。


泡が落ちて穏やかに発酵中
泡が落ちて穏やかに発酵中

泡が落ちると、穏やかに発酵を継続していました。

この頃には、タンクの蓋を開けるたびにハイチュウの青りんご味の香りがしていました。

甘くて爽やかな香りがしていたのですが、酒になったらその香りはどこかへいってしまいました・・・。


そんな苦労や発見をしながら造った「つきよしの 萌黄」ですが、今月から生原酒を季節限定で発売しております。


味わいは、甘みもありながらグレープフルーツのような酸味・苦味があり、日本酒ではなく白ワインのような味わいに感じました。

気温が上がってきて、湿度が高い今の時期にお勧めの味わいです。



火入れもあるのですが、もう少し熟成させて、夏が過ぎたら発売予定です。



山廃仕込みは、難しいです。

微生物を育てている実感を大いに感じるので、楽しい部分もたくさんあります。

毎年同じ味わいにするのが難しく、まだまだ再現性のある造りができない状況です。


ですが、なぜ難しくて手間のかかる方法で仕込むかというと、「速醸以外の製法で仕込むことができる」ということに魅力を感じるからです。

いろんな製法を知っていて、造りたい酒質によって製法を選べる選択肢の多い杜氏さんの方がかっこいい。

そういう杜氏さんになりたいです。


最終的には生モト造りができるようになりたいので、引き続き挑戦をしていきたいです。


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