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人と人を繋ぐお酒とは。

緊急事態宣言が出る直前の8月1日、千葉県へお墓参りに伺いました。

目的は、長年お世話になった酒屋さんのお墓参りです。


今年の冬に長い闘病生活を終えて天国へ旅立たれたその方は、酒屋業界で有名な方で、先見の明を持ち、多くの酒蔵を発掘し応援されて来られた大変珍しく貴重な存在でした。

革命君という酒屋の店主で、齋藤さんといいます。


私が出会ったのは2016年の1月で、酒造りを学び始めて2年目。

麹室を改修し1から酒造りを始めた年の冬でした。

同じ上田市の和田龍酒造さん、岡崎酒造さんのお酒を既に取り扱っていて、お二方が私の事を齋藤さんにお話ししてくれたのが始まりでした。

同業者が酒屋さんを紹介してくれるなんて、本当にありがたい事ですね。

齋藤さん自体はもともと都内の大手酒屋(S)にて番頭をしていたのですが、闘病により業界からいったん離れ、2014年に業界復帰し酒屋を立ち上げたとのこと。

会員制で営業していたその酒屋は、取り扱い銘柄への想いが溢れた、小さな酒蔵応援団という肩書を持つ素晴らしいお店でした。


私はまだ修業中ながら、自分の蔵に戻り酒造りを続けていくと心に決めて取り組んでおりましたので、販売していく銘柄名や、販路、価格設定など、諸々決めていかなければ・・・と悩んでいた頃でした。

ご縁があってサンプルを送るとすぐ試飲をしてくれて、包み隠さず意見を伝えてくれました。


齋藤さんは、蔵の個性や特徴を伸ばすよう物事を伝えてくれるお方で、「ここがだめだ」とか「世間はこうだ」といった意見はなく、良いところや特徴は伸ばして、方向を修正した方が良いことはしっかりと伝えてくれる、そんな方でした。


業界のことを無知であった私は、価格設定から商品設計、展開時期など本当に多くの事を相談し、教えて頂きました。

まだ結婚する前で1人で酒造りをしていたため、出来上がった酒について不安に思う事があれば都度送って意見を求めたり、相談相手になってくれたりとかなりお世話になりました。


齋藤さんは開栓後のお酒の経過や飲温度状態の確認も欠かさず、蔵元だけでなく訪れるお客様からの信頼も厚かったので、数年前小売店舗拡大を兼ねて移転されてからも、さらに多くのファンを持つ酒屋さんへと変身を遂げていきました。

それだけでなく、今まで日本酒に馴染みのなかった人をハマらせる魅力を持ち、蔵元1つ1つのストーリーをしっかり伝えることのできる、ワインでいうソムリエのような方でした。



そんな斎藤さんが再び体調を崩され、そのまま天国に行ってしまったのが今年の冬。

体調が良くなるようにと、当社の甘酒を送り、入院する前日までメールのやりとりを続けていました。

ご本人も必ず復帰する想いで入院されただろうに、帰らぬ人となってしまいました。

無念であったと思います。


あんなにお世話になったのに、コロナ渦で生活様式が変わってしまい、お葬式のありかたも変わり、お別れの場もなく気持ちの整理ができませんでした。

こんな悲しい形で、お葬式の重要さを再認識するとは思いませんでした。


そんな中あるお客様が当社へ来店され、「齋藤さんのお店に通っていた」と。

齋藤さんは私達上田の蔵の事を、お客様へ良くお話されていたそうです。

そして、帰り際にお墓の場所を教えてくれ、その話を言伝で聞きました。

教えて下さって、本当にありがとうございました。


お墓参りに行くことで、やっと直接御礼を伝えることが叶いました。

どれだけお世話になり、良い影響を受け、精神的に助かったかは伝えきれませんが、今後の私の活躍で表せるよう頑張る次第です。



人と人をつなぐようなお酒を造りたい、と思って酒造りを始めました。

私自身酒を通じていろんな方とのご縁ができていますが、つきよしのを手に取ってくれた方々もそうなってもらえたら嬉しいです。


これからはさらに時代が変わり、酒のありかたも変わっていくと思います。


応援していてよかった!と思ってもらえるような酒蔵になれるよう、頑張ります!


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