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執筆者の写真月吉野 若林醸造

月吉野(つきよしの)の味わい考察

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

年末から年始にかけて、育成中の醪のチェックや上槽(お酒を醪から清酒へと搾る作業のこと)をしていました。

現在は純米吟醸、純米大吟醸の仕込みや純米酒の醪を育成中。若林醸造では、寒期である1月〜2月の間に吟醸系のお酒を仕込みます。



それでは、今回は当社清酒の酒質についてご紹介したいと思います。


2016年から私が杜氏になり酒造りを始めて、2022年の今、約15種類の酒を造っています。

大きく分けると、

純米大吟醸酒、吟醸酒、純米吟醸酒、特別純米酒、純米酒、本醸造酒、普通酒

とあり、その中で酒米違いだったり、生酒と火入れ(殺菌してあるお酒のこと)のタイプだったり、季節ものの限定酒を加えたりとあります。

月吉野は、種類によって造り方や味わいを変えています。ですので、15種類それぞれの味わいを楽しめるようになっています。


酵母を統一するとか、使う原料を統一するとか、麹は全て同じタイプにするとか、銘柄のイメージを付けやすいように何かしら統一感を出す蔵も、世の中には多くあります。

飲んで「あ、これは◯◯の酒だな」とわかる方が、ブランディングしやすいし記憶に残るからです。

小さい蔵ほど、そういう路線で販売展開した方が銘柄の名前が普及しやすいです。


私が最初日本酒を造り始めた時、つまり酒質設計を考えた時、「誰に飲んでほしいか」を想像しました。

若林醸造の近くには、別所温泉という温泉街があります。温泉に泊まる事の醍醐味のひとつに、【食事】は欠かせません。その食事をより楽しむために、お酒を合わせるお客も多くいます。


旅館とのお付き合いはずいぶん昔からあり、当社のお酒が食事と提供されることも多々あります。その「別所温泉の旅館に訪れるお客様」と、「季節毎変化するお食事に合わせる酒」を、第一に思い浮かべました。


次に、家族や友人、お世話になった人など、具体的に人を思い浮かべました。

「この人はこういう味が好きだったなぁ」

「お酒が苦手だと言っていたけど、飲みやすければ少しは舐めれるかな」

「冷酒よりお燗の方が好きだと言っていたな」

などなど、何パターンも考えました。

そして、若林家では晩酌が日々の楽しみであります。



以上を考えに考えて、種類ごとに味わいを変えるという結論を出しました。

味わいは様々にある中で、月吉野の特徴としては、「すっきりと雑味のない味」を柱にしています。


酒を造り始めてから、身近な人や地元以外にもお求め頂ける機会が増え、その度に「どういう味が好みなのか」を販売店や現地のお客様と確認しながら商品を増やしてきました。


結局のところ、常に「誰に飲んでもらいたいか」というのを考えて酒造りをしています。

直売店に買いに来てくれる方や、オンラインサイトで定期的にご購入頂いている方、新酒会に来てくれる方、イベントでよく会って話す方など、顔や名前が浮かぶ人も少なくありません。

ですので、直接お酒の感想を伝えてくださったり、直売店でお会いしてお話ができたりすると、とてもとても嬉しいのです。

その言葉が心に残り、実際酒造りに活かしています。



今回ラベルを新調したことにより、酒質がわかりやすくなりました。



真ん中が金や銀の箔のデザイン(純米吟醸クラス)のものは、「冷酒で美味しい」「華やかな香り」「甘めな味わい」。

そうでないものは、「冷やでも燗でも美味しい」「含み香が特徴」「旨口〜甘さ控えめ」となっています。


是非、お酒を選ぶ際の参考にしてみてくださいませ。

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